相場よりも安い物件、それって旗竿地かも。メリット・デメリットをご紹介

妻の出産にあわせて住宅の購入を検討しています。

ネット上で物件をさがしていると、立地の割に安いものや、いつまでも売れずに残っている物件を見つけることがあります。

そのような物件は「旗竿地」と呼ばれる形の土地に立っていることが多いことに気がつきました。

この記事では、これから物件を探す人に向けて、旗竿地のメリット・デメリット、注意すべき点などにご紹介したいと思います。

都市部に多い旗竿地(敷地延長)とは

みなさんも下の図のように分割された土地を見たことがあるのではないでしょうか。

図の①と②のような土地は、道路に面した細いところが「竿」、その奥の四角のところが「旗」の形に見えることから「旗竿地」といいます。ほかにも、敷地延長、路地状敷地などと呼ばれることもありますが、いずれも同じ意味です。

家を建てる土地は道路に対して2メートル以上の幅で接する必要があります。そのため、限られた土地を分割する場合にも、それぞれの土地が道路につながらなければいけません。

また、家の形もできるだけ正方形に近い方が、宅内のレイアウトなどがしやすくなります。もし全てを同じ形で分割しようとすると、細長い土地が四つ並ぶことなり、立てる家も変則的なものになってしまいます。

以上のような理由から、特に住宅が密集している地域では旗竿地がよく見られます。

旗竿地のデメリット

形が変則的なことや道路から奥まったところに位置していることから、旗竿地には様々なデメリットがあります。ここでは代表的なデメリットをご紹介します。

採光、通風が悪い可能性

道路側に立つ家のせいで陽当たりが悪くなったり、風の通りが悪くなる可能性が高くなります。

中古の物件や完成済みの物件であれば、必ず現地で確認するとよいでしょう。もし可能なら、朝、昼、夜の日当たりを確認するのがベストです。また、夏より冬のほうが太陽の位置が低くなるため、日当たりも悪くなる傾向があります。夏は日当たりが良くても、冬になると全く日が当たらなくなることもあるので注意が必要です。

着工前の物件は判断が難しいですね。隣の家との間に多少のスペースがあれば日当たりを確保できる可能性もありますが、ある程度建物が完成してからでないと確認はできません。日当たりを気にする人にとっては、着工前の物件で旗竿地を選ぶのはリスクが高いかもしれません。

隣人とトラブルになる可能性

最初の図の①と②のように敷地の通路部分が隣接し、ブロックなどによる区切りもないような場合、そこがトラブルの原因になることもあります。

そのような土地の場合、暗黙の了解でお互いが境界線を超えて生活していることもあれば、土地の境界周辺の利用方法について明確に協定を締結している場合もあります。

暗黙の了解でお互いに利用している場合、その境界線ギリギリに隣家がモノを置いたとしても、その撤去を強制することは基本的にはできません。また、境界線にそって塀などを立てようとした場合でも、それをやめさせることもできません。

協定がある場合は、境界線を挟んで一定の領域(20~30センチなど)について、お互いに通行を可能としたり、障害物やブロック等を置かない、などのルールが定められます。協定による明確なルールがあったほうがトラブルは起きにくいかもしれませんが、完全に防げるわけではありません。その内容の解釈に違いがおきたり、明文化されていないことで揉めることは十分にありえます。

また、「地役権」にも注意が必要です。「地役権」とは、通行などの目的のために、土地の所有者が他者に対して土地を利用する権利を与えるものです。地役権が設定されている土地の場合、地役権を与えられた人の合意がなければ、所有者であっても勝手に土地に変更を加えることができなくなります。たとえば、土地を舗装する、塀を立てる、家を増改築するなどのことも自分の判断だけではできなくなります。

また、地役権は土地の所有者が代わっても基本的には引き継がれます。そのため、元の所有者が隣家との間で地役権を設定していた場合、その土地を買った人もそれを守る義務が生じるのです。

通路部分(竿の部分)に駐車する場合の問題

竿の部分は駐車場として使うことが多いと思います。通路の幅に余裕があれば問題ありませんが、幅が狭い場合には車を止めてしまうと、その横を通るのが難しくなる可能性があります。

旗竿地では通路部分の幅が2.5Mほどの物件が多く、法律で定められている幅ギリギリの2Mというものもあります。

HONDAのFITのようなコンパクトカーでも幅は1.7Mあります。通路の幅が2.5Mあったとしても、その横を自動改札を通れるサイズの幅0.45Mのベビーカーで通るなら、できるだけ幅寄せして駐車しておく必要があります。自転車などを押して通るときも同様です。

売るのが難しい

旗竿地にはデメリットが多くあるために、土地や一戸建てを購入する人からは避けられる傾向にあります。1つ区画を旗竿地とそうでないものに分割している土地の場合、角地や陽当たりのよいほうが先に売れ、旗竿地のものは残っていることが多くあります。

そのような土地は少しずつ値段が下がっていき、最終的には周辺の他の物件と比較して2〜3割ほど安い価格になってやっと売れることになります。旗竿地とそうでない土地には、それだけの差があるということです。

自分が購入した土地を売る場合も買い手がなかなか現れない可能性が高くなります。もし買い手が付かなければ少しずつ値段を下げることとなり、最終的には安く買いたたかれてしまいます。

セキュリティー面の不安

手前に家が建っているために、旗竿地に建つ家は道路側から見えにくくなります。泥棒からすれば道路から見えないところまで入り込んでしまえば、人目を気にせずゆっくり家に侵入することができるようになります。

建て替えや取り壊しの費用が高くなる

建て替えや取り壊しの際、通路部分(竿の部分)が狭く重機が入れない可能性が高くなります。重機を使う作業を人手で行うことになれば、それだけ費用が高くなり、工期も長くなる可能性があります。

旗竿地のメリット

ここまで旗竿地のデメリットを紹介してきましたが、旗竿地にはメリットもあります。

人気エリアの物件を安く買える

最も大きなメリットとしては、同じエリアの中でも安く物件を買えるということでしょう。

駅近などの人気エリアに住みたいが予算的に手が届かないような場合でも、旗竿地の物件であれば安くなっていることが多いので、予算内で購入できる可能性が出てきます。

陽当たりなどよりも利便性や住環境を優先したい方であれば、あえて旗竿地を狙うという選択肢もありだと思います。実際、同時期に分譲した住宅の中で、価格が安い旗竿地から先に売れていくこともあるようです。

プライバシーを確保しやすい

隣接した家が目隠しになり道路側から見えにくいため、プライバシーが確保しやすいというメリットもあります。

道路に面した位置にリビングがある家も多くありますが、どうしても外からの目が気になります。私はベランダ側が駐輪場に面しているアパートに住んでいたことがありますが、外から見えないように気をつかいながら生活するのは思っていた以上に息が詰まる感じがします。

外から見えにくいことはセキュリティー上の不安と背中合わせではありますが、プライバシーを重視したい方にとっては大きなメリットになるでしょう。

値引き交渉がしやすい

旗竿地の場合、不動産屋で情報を公開してからなかなか買い手が見つからず、時間の経過とともに少しずつ安くなっていき、売り出し価格から大きく値段が下がってやっと売れるということも多いようです。

売り主側の事情にもよりますが、売り主ができるだけ早く売って現金がほしいと考えている場合には、値下げ交渉がしやすくなります。

値下げ交渉をするためには、公示地価や不動産サイトなどで周辺相場を把握しておくとよいでしょう。上手くいけば10〜20%の値引きも可能かもしれませんよ。

まとめ

旗竿地のデメリットを知らずに購入してしまうと、買った後に不満が大きくなり、せっかく買った物件もイヤになってしまうかもしれません。

しかし、旗竿地のデメリットを把握した上で、不安な点などを事前に売り主や不動産屋に確認し、多少の不便にも目をつぶれるのであれば、旗竿地を購入候補として考えるのはありだと思います。

買った後に後悔しないためにも、事前の情報収集や現地調査はしっかりとおこなうのが大事ですね。

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